しぽログ

働き方を模索する緩和ケア認定看護師の物語

緩和ケア認定看護師が教える使えるコミュニケーションスキル3選

このブログは、しがない緩和ケア認定看護師のぼやきブログなんですが、たまには看護師さんの役に立つことも書きたいなと思い、今日はコミュニケーションスキルについて少しお話ししてみたいと思います。

なぜ、コミュニケーションスキルをテーマに選んだかと言うと、臨床でがん患者さんを相手にしている看護師さんからの悩み相談で1番多いのがコミュニケーションに関する相談だからです。ということは、あなただけでなく、その他大勢の看護師さんが「がん患者さんとのコミュニケーション」が難しいと思っているということです。

実際、私も患者さんと関わりながら「何も気の利いた言葉が返せなかった」とか「さっきの言葉で患者さんを傷つけてしまったのでは?」と不安になったことがありました。昔の私と同じく、コミュニケーションに自信がない看護師さん、安心してください!!コミュニケーションは後天的に身につけることができる技術です!!日々の鍛錬で磨かれるので、今技術がないからといって諦める必要はまったくありません。知識を身につけて場数を踏むと、今とは圧倒的に違うコミュニケーションが上手になりますよ。コミュニケーションスキルの高い看護師さんが1人でも多くいてくれると、患者さんや家族はとっても安心して気持ちを表出できるようになります。
今回は、私が実践でよく使う簡単なものを3つ紹介したいと思います。この3つのスキルを習得するだけでも、劇的にコミュニケーションは変わってきますよ!

傾聴

傾聴と言う言葉、よく聞きますよね。誰にでもできると思いがちですが、聴き手には3つのレベルがあると言われています。
レベル1:自分中心的な聞き方(意識は自分に向いている「解釈」「評価」「批判」)
レベル2:相手中心的な聴き方(相手の声や表情にも注意し、相手が何を伝えようとしているのかに意識を向ける)
レベル3:包括的な聴き方(五感や直感を総動員して相手が語っていないことにも耳を傾ける。場の空気や自分の直感にも注意を向ける)

自己中心的な聞き方をしてしまっていませんか?傾聴するためには、先入観や固定観念を棄てなければなりません。患者が話している間は、できるだけ自分の思考を抑えて、頷き、相槌、オウム返し、言い換えといったスキルを活用し、もっと聴きたいというメッセージを相手に伝えることが大切です。傾聴をする間、絶対に沈黙を恐れないこと!これがポイントです。沈黙を待つ間って聴き手は不安になって、ついつい質問をしたりして間を埋めようとしてしまいます。ここをぐっと堪えなくてはなりません。正直、慣れるまではきついです。なぜ沈黙が大事なのかと言うと、話し手にとっては、沈黙の時間が自分の思考の整理をする時間だからです。もし、あなたが自分の考えをまとめているときに、突拍子もない質問なんてされたらどうでしょう?話す気なくしますよね。ぐっと堪えて沈黙に耐えることで、「この人は私の気持ちを急かさずに聴いてくれる人だ」と思ってもらえるようになります。ですが、5分も10分も沈黙が続くとさすがにどうしたらいいかわからなくなりますよね。なので、1~2分経っても返事が返ってこないときは、あえて「今何を考えていましたか?」と質問してみるのはOKです。話し出すタイミングを逃している場合もあるので、こちらから話しやすいようにきっかけを作る方法をとることもあります。

オウム返し

オウム返しって、言われたことをそのまま返しちゃうってわざとらしくならないか心配ですよね。でも意外とオウム返しされた側は不快ではないんですね。ちゃんと聴いてもらえてると感じることができるんです。ただし、乱用しすぎると「あれ?この人繰り返してるだけじゃない?」って思われてしまうので、連発するのはやめましょう!患者さんの発言が長い場合は、重要な部分や最後の部分だけをピックアップして繰り返すのがオススメです。
オウム返しの効果は、「話を聴いてくれている」という印象を与え、患者が更に情報を出しやすくなることです。
私もよく仕事のあと「今日すごく疲れた!!」と帰宅したときに、「へぇ、今日疲れたの?」と聞かれたら、「そう!実は今日さ~」って話し出しちゃいます。聞いてくれそうだと思える人には、自然と話したくなりますよね。

言い換え

オウム返しと似ているのですが、少しだけオウム返しより技術が必要になります。その分、オウム返しよりもさらに聴いてもらっているという印象を与えることができますし、誤解を未然に防ぐこともできます。相槌をうったり、オウム返しをしている間にも、実は患者さんの言いたかったこととと聴き手側の解釈にずれが生じていることがあります。そんなときは患者さんに「あんなに話聞いてくれていたのに、全然自分の言いたいことが伝わっていない」と思わせてしまうかもしれませんよね。さらには、「話したって伝わらないから、話すのやめよう」と思われる可能性だってあります。そうならないためにも、言い換えのスキルは身につけておいた方がいいです。話が脱線したり、何を言いたいのかわからなくなっている時、軌道修正することもできます。
仕事から帰宅して「今日すごく疲れた!!」と家族に伝えたときに、「そんなに疲れるくらい(今日の仕事が)大変だったんだね」と返してもらえるとどうでしょうか?オウム返しのときよりも、「私の気持ちをわかってくれた!嬉しい!!」と感じると思いませんか?
何が大切かと言うと、相手がその発言をした理由に思いを馳せて、自分が解釈した相手の感情も認めることです。言い換えのスキルは慣れるまでは本当に難しいのですが、実践で有効に活用できるのでオススメのスキルです。言い換えながら、「あなたの気持ちもわかっているよ」という受容や共感的な姿勢を伝えることができるからです。
がん患者さんだと「死にたい」と言われることもあります。そんなときになんと答えるのがいいのか悩む看護師さんもいるかもしれません。よく臨床ででくわす事例ですし、「そんなこと言わないでください。ご家族が悲しみますよ。」と答える看護師さんもいますよね。それが患者さんを思いやる気持ちだというのはよくわかります。以前は、私も同じように答えていました。ですが、よく考えてみると、自分の感情を否定された患者さんは、余計につらくなりませんか?そして、死にたいくらい苦しんでいることが、否定されるということは、まるで悪いことかのように感じてしまうかもしれません。今の私は、死にたいという患者さんには、「死にたいと思うくらいつらいんですね。」と返すようにしています。患者さんに「この看護師さんは、つらい気持ちをわかってくれた。もっと打ち明けてもいいのかな?」と思ってもらえることが大切なんです。患者さんの発言の先にある感情を読み取ること、決して患者さんの感情を否定しないように注意しましょう。

おまけ

最後に、返答に困る質問をされたときの対応についても裏技をお伝えしておきます。ここはシンプルにいきます。
ずばり、返答に困る質問には、あえて質問で返すことです。これとっても使えます!というかこの技法に私が何度助けられたことか。
例えば、「私はあとどれくらい生きられると思う?」というめちゃくちゃ困る質問をされたとします。冷や汗ものですよね。そんなときも、「ご自身ではあとどれくらい生きられると思うんですか?」と返してみると、「いや、私が聞いてるんだよ!」と怒られたことはありません。ただ、1つポイントがあって、質問を受けてすぐそのまま質問を返すのではなく、少し自分でも考える"間をとる”ことはしてください。それで「この人何も考えてないな」と思われることはほぼないと思います。私の経験上、「自分ではもう長くないと思うんだよね」とか「残りの時間がどれくらいあるかが気になるんだよね」といった言葉が返ってくることが多いです。つまり、患者さんは純粋に寿命を知りたいわけではないのかもしれない、ということです。寿命がどれくらい残されているか知ることで、その先に何かしたいという希望が隠れていることがあるかもしれませんよね。そこを引き出すのが、看護師さんの役割だったりするんですよね。

いかがでしたか?今回は難易度の低いコミュニケーションスキル3つ「傾聴」「オウム返し」「言い換え」とおまけのテクニックとして「困る質問にはあえて質問で返す」という方法をご紹介しました。簡単なようで難しく、難しいようで簡単です。意識して実践するだけで劇的に自分の技術がどんどん向上していきますよ。
私は緩和ケア認定看護師として、これらの技術を用いてがん患者さんとの面談を数々してきましたが、どんどん自信がつきましたし、今は誰と話すのも怖くないと思っています。元々、『化け物のようなコミュ力』と言われていた背景もありますが、努力無しにここまでこれたとは思っていません。私が何度失敗をしてきたことか。上手くいかない日が一度あったとしても、次はうまくいくかもしれません。諦めるなんてもったいないですよね。はじめにお伝えしましたが、コミュニケーションスキルは後天的に身につけられます!!とにかく実践あるのみです!プライベートでも使えるスキルですので、自分のコミュニケーションスキルに不安がある方は、是非試してみてください。少しでも参考になると嬉しいです。

ブログランキング参加中です!クリックで応援お願いします♡
にほんブログ村 病気ブログ 看護師・ナースへ
にほんブログ村

看護師ランキング

もう一つのブログもよろしかったら応援お願いします(^^)/
inudogblog.com