しぽログ

働き方を模索する緩和ケア認定看護師の物語

アドバンス・ケア・プランニング


突然ですが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)ってご存じですか?

ざっくりいうと、してほしいことやしてほしくないこと、受けたい治療や受けたくない治療など自分が大事に思っていることを前もって考えておくっていうことですね。そして、それは、自分だけで考えておくのではなく、家族や医療者と定期的に話し合っておくことがとっても大事なんです。

緩和ケアに携わっていると、特に終末期の意思決定の場面でもやもやすることがあります。


私の母のがんがわかったとき、母は私に『何かあっても延命処置はしてほしくない。胃瘻なんかもつくってほしくない。』と言いました。
こんな話って、おそらく医療従事者だからある程度落ち着いて聞けるんでしょうけど、一般の方だと向き合うのにものすごくつらくなるし、消耗してしまう気がしますね。
私は正直言って、こんな話し合いが家族とできることって、とっても有意義だし、みなさんにもどんどんしてほしいと思っています。


私の母が、延命処置を受けたくないと思っていても、家族に伝えていなかった場合になにが起こり得るのか。例えば、母のがんが悪化したときに、もし重度の認知症になっていたとしたら?延命処置を希望しないという意思を自分で伝えられなくなったらどうでしょう。母の気持ちを何も知らない家族は「なんとか命を繋ぎたい」と思うかもしれません。

臨床では、家族同士で意見が分かれることもあるんですよね。なんとしても生きてほしいと思う家族と、その人らしく生きてほしいと思う家族でぶつかることもありますよね。そんな状況で多数決で延命処置を受ける結論に至ってしまった事例を私は知っていますが、最期は壮絶なものでした。家族が分裂してしまうんですよね。

だから私は、母が『何があっても延命処置はしないでほしい』と言ったとき、聞けて良かったと思っていました。そして、できるなら書面にその意思を残して携帯してほしいと伝えました。あっさりしていて冷たい印象があるかもしれませんが、本人に意思表示ができなくなったとき、誰が本人の意思を推察して代理決定するかという問題が出てきます。家族で「この選択で間違っていない。この選択でよかったんだ。」と思えることって、残された遺族が分裂せずに生きていくためにも大事なことだと思います。

ちなみに母のがんは手術で摘出して、5年以上経過しています。今は元気にしています。


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