しぽログ

働き方を模索する緩和ケア認定看護師の物語

精神科病院で患者に暴力/看護師が2人が退職


最近、世間がざわざわしていますよね。
園児虐待や患者に暴力行為といったニュースが続きます。

news.yahoo.co.jp

私はこういうニュースを見る度に、この当事者(加害者)の元々の人格が気になるのですが。
元から乱暴だったのか、それとも職場環境がそうさせたのか。


もちろん、あってはならない事件です。
怖い思いをされた患者さんが、今は安心して療養できていたらいいなと思います。

それは大前提にあるのですが。
ニュースを見ているとどうも看護師が非常に叩かれているケースがありますよね。
まあ、患者の療養の世話や診療の補助をするのが勤めですから、患者の安寧を奪ったり痛みを与える行為は決して許されません。
コメントを見ていると看護師だから叩かれていたり、何かあればすぐに免許剥奪という方がいますよね。


以前、終末期の患者に在宅酸素療法を導入して、その患者が自宅でたばこを吸って火傷したという記事がありましたが、それにかんしても医師免許剥奪だの好き勝手いっているコメントを見たことがあります。

そんな患者に在宅酸素なんか導入するなと言うコメントもありました。
ですが主治医は、患者の「家で死にたい」という思いを叶えるために必死だったはずだし、在宅酸素療法の教育入院や退院前カンファレンスで訪問看護師やケアマネ、訪問診療医とも連携していたはずです。

一般の方って、事情がわからないので、たばこ吸うってわかってて危険な在宅酸素を導入するのはおかしい!医師免許剥奪案件だ!と簡単に言いますもんね。
私、この件にはすごく腹が立っています。


病院って正直言って、サービスを導入して在宅療養に切り替える方が面倒くさいです。
簡単に言えば、ホスピスに転院して貰う方が手続き上も速やかで楽ですよ。
サービスを決めたり、退院前カンファレンスを企画したりする手間がなくなるんですから。


そこをあえて「家の布団で死にたい」という患者の「たばこは絶対吸わない」という誓いを信じて、在宅酸素の教育入院をしてもらってまで調整しているんですからね。
在宅療養を望まなければ、転院先の施設で酸素吸入するだけですから、何も問題ないんです。


批判した方々の意見を尊重するとすれば、患者を低酸素の状態を承知の上で自宅に帰して死期を早める。
もしくは、患者の意向を無視して強制的にホスピスに転院させる。
この2択になります。

私はそんな選択をする主治医とは正直働きたくありません。
患者さんや家族がたばこは吸わないと言えば、後生だと思って信じたい。


最期をどこで過ごすかを決めるのは患者さん自身でしょう。



ちょっと脱線しました!
ちょっとどころが大幅に脱線しました!!


もちろん私は患者さんに暴力を振るったことはありませんが、腹が立ったり、嫌いだなと思ったりしたことはあります。
暴言、暴力、唾を吐きかけられたり、首を絞められそうになったりしましたから。

でも、これって患者さんだから許される行為ですかね?


じゃあ、妊娠している看護師が患者さんにお腹を蹴られても「精神科患者さんだからしょうがないね」と言って、看護師とその子供の命はないがしろにされてもいいのでしょうか。

看護師の虐待や暴力のニュースを見る度に複雑な気持ちになります。
一般の方は知らないんです。
看護師がどんな残酷な世界で働いているのか。
どんなに侮辱されているか。
仕方ないよねでいくつ我慢してきたか。


唾を吐きかけられるような働きをしたことは一度だってありません。
叩かれたり蹴られたり、首を絞められていい人間になった覚えもありません。


今回のニュースはあれだけ暴行していた事実があるし、看護師としてあり得ないことだと思います。
きっかけは知りません。

暴力を振るった看護師が守られるべきとはまったく思っていません。
ただ、懇切丁寧に仕事をしている看護師は、もう少し守られる存在であってと思います。

これは社会全体に言いたい。

どうして看護師は暴力や暴言を受けるのも仕事の内にされてしまうのか。
納得いかないものです。